マスターオブワイン、及びMS、WSETに必要な英語力とは? その2

2週間前にこの記事(NO.1)をフェースブックにアップしたところ、有意義なコメントをたくさんいただきました。今回はちょっと横道にそれますが、多分に誤解されている「英語力」について、皆さんと一緒に意見交換をしたいと思います。

MWのプログラムに洗脳されてしまい、なんでも「定義」をする癖がついてしまいました。まずは、「英語力の定義」なしには、この後のディスカッションが始まりません。ちなみに、MWの試験では、試験問題に出てくる相当数の単語や概念を、即座に「定義」します。例えば、「自然派ワインはワイン業界にとって、僥倖か?」という問題があるとします。この場合、「自然派ワイン」「ワイン業界」「僥倖」の3つのキーワードの定義なしには、理論を展開していけません。

例えば、自然派ワインとは、「農薬を一切散布していないぶどうを使用し、ファイニング、フィルターをかけず、二酸化硫黄を一切加えずに醸造したワイン」と規定した論文と、「自然派ワインとは、オーガニック及びバイオダイナミック農法で栽培したぶどうで、最小限の人的介入を排して作ったワイン」と定義した論文では、基調が変わってきます。どちらの場合も、注釈として、「自然派ワインという法的定義は、存在しない」という「事実」を入れる必要はあるでしょう。

MWのプログラムに入ったばかりの一年目。最初にするのが、過去10〜20年くらいの試験問題を集め、最も頻繁に出てくる数百〜数千に渡る単語をリストアップし、「定義」をし、暗記します。4日間に渡る試験日で出題される問題を目の前にして、いちいち定義を考えていては、時間切れになってしまいます。また、人とディスカッションする際に、きちんとした言葉を理解=定義付けしていなければ、話が噛み合わないのは、どんな業界でも同じでしょう。これは、WSETの試験にも通じる習慣だと考えます。

それでは、「英語力」を定義してみましょう。定義=definitionをする際に、最も有効なのは「辞書」を引くこと。辞書には第一定義から始まって、単語によってはニュアンスのことなる定義が多々あります。自分が言いたい言葉は、一体どれなのかを訓練する上で、辞書を読むことは欠かせません。(ちなみに、Covid-19で缶詰になっている昨今、昔読んだ興味深い本を色々読み返していますが、三浦しをんの『舟を編む』は、大辞典を編集する話。定義やら語学力にご興味のある方を是非ご一読を)

以下、愛用している広辞林から、定義を引用します。英語力ー>英語(英国や米国の国語) + 力 (能力 = 事をなしうる力)。つまりは、「米英という外国(個人的にはこれにも意義がありますが)の国語(=国民一般が使用するその国の公的な言語)で、事をなしうる能力」が「英語力」でしょうか?

ここで、皆さんに提案です。まずは、誰でも納得できうる「英語力」の定義を自分なりにしてみてください。また、その力をつけるために必要な「訓練」は何でしょうか?

WSET/MW/MSに必要な英語力とは? その1

国際社会で活躍する非英語圏の人材に共通するのは、「英語でのコミュニケーションスキル」でしょうか。ワイン業界の国際資格の中でも、マスター オヴ ワイン(MW)に必要な「英語での語学力」は別格としても、WSET diploma (DipWSET)や Court of Master Sommelier (MS)を目指す外国人(一般的にはEnglish as a second language = ESLと総称されます)に必要なのは、実践に威力を発する、つまりは実務の「英語力」だと考えます。これはMWを目指す人にも言えることで、日本人としてアメリカに移住し、英語圏でキャリアを築いた実績を踏まえて、自分なりのアドヴァイスを行いたいと思います。

「語学力」とは、自分の考えや感覚を、正確に相手に伝える能力ですが、ここで大切なのは

1。自分の意見や感想を、自分自身で明確に把握していること

2。相手の能力・年齢・バックグラウンドを理解して、相手に伝わる言葉や愛情を持っていること

3。美辞麗句・難しい言葉や比喩という二義的な技術よりも、誰にでもフォローできる簡潔な言葉や文章で、論理的に(時には感情的に)意思疎通をする勇気!があるかどうか

さて、このコラムは実はインターアクティヴなものにしたいので、フェースブックなどにアップしております。上記の3点について、読者からの意見や感想を募集したいと思います。上記の3点それずれにつき、どんな感想をお持ちですか?

WSET Diploma 取得に向けて -私からのアドヴァイス

日本でWSET Diplomaを取得中、或いは取得を考慮中という方々から、勉強法についてアドヴァイスが欲しいという連絡をもらいます。特に現状では自宅で缶詰になっている方も多く、じっくりと計画する時間もあるのではないでしょうか?

自分が行ってきた勉強法を知りたいという方が多いのですが、これは本当に人それぞれの個性があり、勉強の仕方も様々です。しかも私の場合は、「受験勉強」や「受験対策」にアレルギーがあるというか、余り「受験テクニック」に時間を費やしたことがありません。勉強は好きですし、ましてはワインに関する全てに興味津々だった(今でも!)ので、結構深くハマって勉強してきたかもしれません。

そんな訳で、私の勉強の仕方が人様の受験のお役に立つかは、分かりませんが、とりあえず、今皆さんが抱えている勉強(方法)への疑問や、テーマがあれば、まずそれを知りたいと思います。

本日から、これを掲示板をして活用しようと思いますので、こちらに質問を書き込んでください。このサイトは来週あたりにテク担当者が更新をすると思うので、お返事はその後ということになりそうです。

また、掲示板は飽くまで「WSET Diplomaの勉強」がテーマなので、1)理論と2)テイスティング そして3)英語力という3点に絞った質疑応答にしましょう。